外注すると高額になってしまう自社専用アプリ。それが社内で作れるとしたら、活用したくありませんか? プログラミングの知識がほとんどなくても、誰もがアプリを作成できるようになるツールがMicrosoft「Power Apps」です。
本稿ではMicrosoft 365初心者に向けて、Power Appsとはなにか、またメリットや活用方法などをご紹介します。Microsoft 365を使いこなして、業務効率をさらに高めていきましょう。

Power Appsとは?

Power Appsは、Microsoftが提供する短時間で簡単にビジネスアプリケーションが作成できるツールです。
マウス操作でアプリケーションに配置する画面やボタンを設定し、簡単な関数を使ってプロセスを設定できるため、プログラミングの知識がほとんどなくてもアプリを作成することができます。

Tips
プログラミングの知識なしに開発できるツールをノーコードツール、プログラミングの知識がわずかに必要な開発ツールをローコードツールと言います。
関数がよくわからない状態でも、ベーシックな処理であればウィザード形式(画面の表示内容に応じて設定を選べる)で設定することができます。

Power Apps 画面

その他、PowerAppsではWebポータルページを作成することもできます。アプリの作成と同様に、Webプログラミングの知識なしに制作することが可能です。

Power Appsを使うメリット

1.短時間・低コストで開発可能

通常のシステム開発には数カ月ほど開発期間が必要です。コーディングの知識がない場合は、コーディングスキルを習得するなど、アプリの開発に多くの時間を費やす必要があるでしょう。一方、アウトソーシングすると高い開発コストがかかってしまいます。
しかしPower Appsを使用すると、わずか数時間から数日でアプリが作成できます。「こうしたらもっと便利になるんじゃないか」というアイデアが浮かんだら、すぐにアプリを作成・修正できるため、短期間で業務改善を重ねることができます。

2.Web上で業務アプリが作成できる

このPower AppsはWeb上で実行されるツールです。そのため、アプリケーションの作成はWebブラウザ上で完了します。専用のアプリケーション開発環境を作成する必要がなく、ブラウザ上で作業を行うため、開発用PCのOS(オペレーティングシステム)に制限はありません。WindowsとMacの両方でアプリが作成できます。

3.データを外部に提供する必要がない

システム開発を外部委託する際、テストケースを作成するために自社データを開発会社に提供する必要があります。データ流出につながるリスクを許容しなければならなかったのが、社内開発すればセキュリティをより強固にすることができます。
さらに、Power Appsにはテストケースを作成し、テストを自動的に実行できるTest Studioと呼ばれる機能があります。

4.さまざまなデータサービスと連携可能

Power Appsは「コネクタ」と呼ばれる仕組みを提供しています。これは数百種類にもおよぶ対象からデータを取得し、追加・更新・削除ができるようになっている、まさにアプリ間のつなぎ役。このコネクタで接続されるデータの保管場所が「データソース」と呼ばれています。
データソースはSharePoint、OneDrive、ExcelなどMicrosoft 365の既存サービスはもちろん、Googleスプレッドシートなどからも選ぶことができます。
そのほかにも、Power BIと連携することで、自動でレポートを作成し、グラフ表示することもできます。また、Microsoft Teamsに組み込んで使えるアプリをTeams上から作成できるようにもなっています。

5.Microsoft Officeツールと同様の使い勝手

Power AppsはMicrosoftによって開発されたツールであるため、Word、Excel、PowerPointなど他のMicrosoft製品と同様のインターフェイスと使いやすさを備えています。 Microsoft製品のユーザーであればすぐに使い方を覚えられるでしょう。
さらに、処理の記述に使用される関数の多くは、TODAYやSUMなどのExcel関数と共通しており、Excel関数を使用してスプレッドシートを作成できる方であればPower Appsでも関数を簡単に作成できます。

Power Appsでできる制作事例

Power Appsを使用すると、複雑な日常業務をデータ上で可視化・自動化し、生産性を向上させるアプリを作成できます。
ここから、具体的にどのような種類の業務アプリを構築できるかの例を紹介します。

営業管理ツール

  • ・誰がどの顧客と取引しているかを一覧表示させる。
  • ・カンバン形式で取引交渉の進捗状況を表示させる。
  • ・アプリ内で販売実績チャートやチーム割り当て達成率などのレポートを表示させる。

など営業管理をスピーディにするアプリが作成可能です。

予約管理アプリの制作

会社の備品を借りるために、予約表を作成している会社もあります。手書き書類だとリモートワーク時に予約が取れない、ということも…。また、Excel管理だと予約側も確認する側も、アプリを立ち上げるのにひと手間かかります。
このような場合にPower Appsで予約管理アプリを作成すれば、さっと予約・予約確認ができるようになります。

勤怠アプリの制作

コロナ禍の影響でリモートワークが普及したことで、従業員の出席状況の追跡が複雑になっています。 携帯からでも出退勤が操作・確認できるアプリをPower Appsで作成すれば、ワンクリックで出社/在宅勤務を報告し、各従業員のレポートを自動的に集約することができます。

入力フォームの制作

Power Appsを使えば、各種の入力を支援する入力フォームを作成することもできます。
例えば、プロジェクトの課題や業務改善のアイデアを、共有しているExcelやGoogleスプレッドシートなどで管理している方は多いでしょう。Power Appsで、このような情報を入力するスマホ対応の入力フォームアプリを作成すれば、わざわざExcelを開かなくても、アプリから手軽に情報を入力できるようになります。入力の手間を減らせば、情報がより早く、漏れなく伝えられるようになることも期待できます。

まとめ

今回は、簡単にビジネスアプリケーションを作成できるPower Appsを紹介しました。とても便利なローコードツールで、プログラミングの知識は基本的には不要です。一方で、「どのような情報を入れた際に」「どのような結果を返してほしい」といった、業務を整理し、アプリを設計する能力は不可欠です。
また、Excel関数もスプレッドシートを作成する程度の知識は求められます。
「難しそうだな」と感じられた方、または「作ってみたけれど、自分だけでは難しい!」という方は、ぜひ弊社のMicrosoft365活用支援サービスをご検討ください。