RPAの導入はどのような手順で進めていくのでしょうか。以下一般的な導入フローをご紹介します。

(1)現状業務の業務量・プロセスの見直し

RPAに変換できる作業は、パソコンを使って定期的に行う作業です。また、RPA化できる作業であっても、RPAへの変換の際には非常に効率的なものとそうでないものがあります。これらの要因を特定し、グローバルに最適化されたRPAを考案するためには、「社内(部門内)で現在どのような活動が行われているのか」を明確にする必要があります。
RPAを導入する際に、社内(部門内)で「RPA化したい業務」を募集し、「まずはその業務をRPAに変換してみる」という方法がありました。
特にトライアル段階では、この方法でも問題ありませんが、その後の部分展開・本格展開を考えた時に、この段階である程度棚卸しを進めておくと、今後の流れはスムーズになります。特に、前述の「本格導入に向けた作業工程」を作成すると、業務の棚卸しの必要性が上がるでしょう。

(2)RPA化する業務を決める

前述のとおり、すべてのをRPAに変換できるわけではありません。一般的に、RPAに適切と考えられる業務・作業は次のとおりです。
(「RPAに向いている業務・向いていない業務とは?」について詳しくはこちらをご覧ください。)

パソコンのみで行う操作

電子メールの送信、システムへのデータの保存、データの公開、レポートの生成など、パソコンで行う操作。これは、RPAに変換する業務を選択する際の主な前提条件です。

ルールを設定しやすい業務

RPAでの作業を自動化し、ロボットに処理させるには、RPAエンジンが企業のIT運用を認識して実施する必要があります。したがって、作業内容の要件は固定(標準)であり、例外対応が少ない業務であることが求められます。さらに、業務マニュアルを持っている企業の場合、ビジネスルールの作成とRPAの導入が容易になります。

繰り返しが多い業務

RPAを開発するための作業時間が短い場合、RPAを導入するコストを削減できます。さらに、RPAの実装により、以前は時間のかかるタスクを自動化できれば、それに応じて人的労力を削減できます。たとえば、永続的なコンテンツのデータの保存、画面Aから画面Bへのデータ転送などの単純な作業を繰り返す業務や、同じ作業を頻繁に繰り返す業務は「開発工数が少ない」「削減時間が大きい」に該当するため、RPA導入の効果を最大化することができます。

(3)導入するRPAツールを選定する

適切な製品は、どのような業務・作業をRPAで自動化したいか、自社のRPA化導入方針によって、異なります。 IT部門と連携できるのであれば、RPA製品の機能を調査し、以下の観点から比較して相談することをお勧めします。

EUC向けかどうか

RPA開発をEUCで内製化したい場合は、プログラミングの経験がない人でも扱いやすいツールが望ましいです。

※EUC(エンドユーザーコンピューティング)とは、企業などで情報システムを利用して現場で業務を行う従業員や部門(エンドユーザー、ユーザー部門)が、自らシステムやソフトウェアの開発・構築や運用・管理に携わることをいいます。

導入コスト

RPAツールのインストールには、初期コストや運用コストなどのライセンス費用がかかります。

業務システムとの互換性

RPAを導入したい作業で、クラウドサービスや業務システムを利用する必要がある場合が多いと思います。そのような業務システムが、導入を検討するRPAツールで、問題なく使用できるかどうかを確認する必要があります。

どのようなタイプか(デスクトップ型、サーバー型、クラウド型)

RPAツールには3つのタイプがあります。

デスクトップ型:PCにインストールしてロボットを実行する
サーバー型:RPA作業を担当するロボットがサーバー上で稼働する
クラウド型:業務で使用するクラウドサービスにRPAロボットを導入することで業務を自動化する


それぞれに長所、短所、適性がありますので、御社に合ったタイプのものをお選びください。
デスクトップ型・サーバー型・クラウド型の違いとは」について詳しくはこちらをご覧ください。

拡張機能

一部のRPAツールには、AIとの高度な統合を可能にする拡張機能があります。採用したいRPAツールがどのような拡張機能を持っているかを知ることも有効です。

(4)無料トライアルを実施し、課題を洗い出す

まずはトライアルとして1、2業務ほどを対象にRPA化を実施してみると、開発時間と作業負荷の軽減を知るだけでなく、さまざまな問題を浮き彫りにすることもできるはずです。
RPAの開発を業務部門の社員が内製する場合でも、予想以上に難しいことが判明した場合は、開発スキルを身に付けるための研修計画を立てたり、外部の専門家をコンサルタントとして迎えたり、開発のアウトソーシングなどの対策が必要です。
対象業務で使用されている業務システムとRPAツールの相性が悪かったと判明すれば、別のRPAツールで再テストするか、別の業務でトライアルするか、といった選択肢が考えられます。
重要なのは、RPAは「一度インストールすると完了」ではなく、最適化するためにインストール後も試行錯誤を繰り返す必要があるということです。トライアルによる課題への対応と効果測定は、本格導入後のPDCAのリハーサルともなるはずです。そのためにもIT部門と連携して行うのが安全です。

(5)本格展開を進める

トライアルを行い、RPAの採用を試して拡大する場合は、まず同じ部門の他の企業にRPAを展開し、次に他の部門の事業に拡大し、最終的に全社的に拡大していくことで、RPA導入を進めます。
どの部署の、どの業務にRPAの導入を展開していくかを検討する場合「社内(部門内)からRPA化を希望する業務を募集する」方法と「棚卸しした業務のなかから全体最適を考えて選定する」方法があります。RPAの導入目的や希望する効果に応じて使い分けることをお勧めします。
この時点で、RPA採用の影響を最大化したい場合は、開発工数が少なく、すでにRPAに移行した企業と同様の企業を選択することで、RPA採用の影響を増やすことができます。
さらに、企業全体での本格的な展開では、RPAの設計/承認フローを策定、コーディングルールの不整合や、管理者不明の“野良ロボット”の発生防止のためのルールの作成、RPA製品のライセンス管理や環境整備などが必要になります。
こうした点は、IT部門がセンターオブエクセレンス(COE)組織として主導権を握り、ルールの作成などのガバナンス構築を進めていくと、後の管理が安心です。

まとめ

いかがでしたでしょうか?RPA導入のステップを紹介させていただきました。
以上のような手順でRPA導入を進めていくとスムーズではないかと思います。

弊社では様々なRPA導入サービスを展開しております。
お客様に合わせてカスタマイズも可能ですので、ぜひお問い合わせください。